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エンジニアリング事例 その一 「シリンダのロッドが曲がった場合」

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マシニングセンタのスピンドルがクラッシュし、たまたま横に居合わせた男達の戦いの物語

長い夜の始まり

ある日曜日の夕方、そろそろ仕事も仕舞って帰ろうかという頃、
ガシャンという嫌な音が工場に鳴り響く。
マシニングセンタのスピンドルが、治具にクラッシュしたようだ。
森〇は聞こえないフリをして作業に没頭していたが、案の定クラッシュさせた
Iさんからヘルプの要請が入る。

森〇は瞬時に最悪の状況の計算をする。
ここは自動車の部品の加工ライン。
今は午後4時。
ライン稼働は明けた日の午前8時。
修理して試加工をして精度確認に3時間はかかるとすると、
使える時間は多くても12時間~13時間。
うまく修理できたと仮定した場合であって、修理した結果ダメでした、はNGである。

破損はシリンダのロッド×2個とクランプヘッド1個、位置決め治具1個。

念のため機械のスピンドルの精度の確認をすると、破損はない様子。
残るは治具の破損の確認だが、シリンダをバラしてみると破損は曲がったロッドのみで、
ケースやブッシュ類は無事な模様。
となると、まっすぐなシリンダロッドが2本あれば、治具の修理ができ、十数時間後に迫ったライン稼働にも間に合う模様。

実はこの時点で、クランプシリンダーが汎用のものではなく、あまり見たことのないシリンダーだったので、森〇は明朝月曜日にマシニングセンタのメーカーに修理依頼するのだろうと楽観していた。
が、よく考えると今日は日曜日。しかも十数時間しかない状況で新品のシリンダの入手は難しい状況。

ここでIさんの上司であるSさんから、「明日、ラインを止めるわけにはいかないのでなんとか直して♡」の熱い依頼が森〇に。

えぇ!? なんてことを・・・しかし・・・と、頭の中をいろんなことが駆け巡りながらも、なんとかせねば!」と思い修理用で在庫してあるにあるシリンダを見に行くことに。
シリンダのロッドさえ入手できれば問題は解決する。
森〇は顧客であるIさんに叫んだ。

「工場にあるだけのシリンダを見てこい!」森〇は叫んだ

いや、うそだ。そんな勇ましくは言っていない。

「修理用で在庫してあるシリンダーでロッド径とか似たようなシリンダはないですか?
あればロッドを加工して、なんとかなるかもしれませんね。」

ということで、無事径の同じロッドが見つかり、ねじ切り加工もし、
長さの調整などもできてシリンダは直った。
さらに破損した治具類も素材から削り出してな製作完了。
結果から言うと、本当にギリギリであったが加工機は無事復旧し、事なきを得た。

このことを評価され、Iさんの上司のSさんにコンビニ弁当をご馳走してもらったことは言うまでもない。

今回の教訓:「与えられた条件で、問題を克服しろ」

今回の事例はエンジニアリングの基本ともいえるのではないだろうか。
今回のシリンダもクランプシリンダの特殊な仕様のもので、構造などはわからず、ましてや修理までに時間がない状況で、

「在庫しているシリンダロッドを改造して、破損したシリンダロッドのみを交換する」

という選択をしたことが、結果的にライン停止のピンチを救った。
もしシリンダメーカー任せにしたり、他の選択をしてしまっていたら、たくさんの工程に影響があったに違いない。

専用機メーカーとしての伸和工作所は、こういう修理や、もっというと修理にいたるまでにメンテナンスをすることに長けた職人たちの集団である。彼らは、実は今回のような危機的状況の時にもっとも活躍するのかもしれない。

 

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